“派手な数字がない自分でも、刺さる職務経歴書は作れるの?”——はい。事実→意図→成果の順に語れば、ふつうの経験が伝わる物語に変わります。
Problem|ありがち職務経歴書が刺さらない理由
- “やったことの羅列”(担当業務・ツール名・年数)が中心
- 受動態(〜を任された/〜に従事)で、評価者が知りたい意思と再現性が見えない
- 成果の定量化なし、あるいは運任せに見える数字だけが浮いている
採用側が知りたいのは、その成果を“また出せる”理由です。そこで「事実→意図→成果」の順に並べ替えます。これはSTAR法/CAR法の骨格を、職務経歴書の一文まで降ろした超実装版です。
Empathy|凡人視点の“失敗談”から
Aさん(28歳・事務→企画志望)は、実績が平凡と悩み「担当業務」を列挙。一次は通るものの最終で落選。添削すると「意思(なぜやったか)」と「成果の定義」が抜けていました。
→ 三段構成で書き換えると、同じ材料でも“選択と工夫の必然性”が伝わり、面接の深掘りが前向きに。次の応募で年収+48万円の内定に到達。
Solution|“事実→意図→成果” = 三段で再現性を示す
① 事実(Fact)
- 誰が/どの役割で/何をしたかの観察可能な情報
- 例:月次在庫データをExcelで集計し、欠品率を可視化するレポートを作成
② 意図(Intent)
- なぜその選択をしたか(仮説・狙い・制約下の工夫)
- 例:在庫切れの要因仮説(需要予測の季節性未反映)を検証するため、週次粒度へ変更
③ 成果(Result)
- 数値 or 再現可能な状態変化
- 例:欠品率を8.2%→3.9%(-4.3pt)に。補充リードタイム2日短縮。営業からのクレーム月12→3件に減少
ポイント:「事実」は素材、「意図」は設計思想、「成果」は検証結果。
この三段を1トピック=1〜2行で粒度を揃えて積み重ねると、物語 = 再現性になります。
テンプレ|貼って使える“FIRワンセンテンス”
【事実】 私は〈役割〉として〈対象/範囲〉の〈行為〉を実施。
【意図】 〈課題/制約〉に対し〈仮説/狙い〉で〈方法/工夫〉を選択。
【成果】 〈KPI/状態〉を〈Before→After〉に改善(期間/再現条件)。
例文(営業職)
- Before:新規アポ100件/月、受注率3%と記載のみ
- After:
「中小製造業向けに提案資料を“課題別”に3種再設計(事実)。“工場の段取り替え損失”を可視化する仮説で原価貢献額を試算(意図)。回収期間を6→3か月に短縮し、受注率3%→8%、平均単価+17%(成果)。」
例文(バックオフィス/企画)
- Before:「RPAで自動化を実施」
- After:
「各部で週次転記が分散していた請求データを帳票IDで統合(事実)。二重入力によるエラー/残業を抑制する狙いでRPA+チェックサムを選択(意図)。処理時間を45分/日→8分/日、月次エラー率1.8%→0.2%、残業-14h/月(成果)。」
定量化のコツ(数字が弱くてもOK)
- プロキシ指標:直接売上でなくてもOK(工数/リードタイム/エラー率/満足度)。
- 相対変化:**%や差分(pt)**で伝えると、規模が違う企業でも比較しやすい。
- 分母を揃える:週→月、部署→全社など集計粒度を明記。
- 期間を足す:改善が一時的でないことを示す(「3か月継続」「四半期平均」)。
- 質的→準定量:例「問い合わせのカテゴリ“納期”が全体の42%→27%に低下」など。
(関連記事:[手放してはいけない「転職軸」の作り方]/ [キャリア“ずらし転職”成功談―隣接業界を選ぶ3つの視点]
構成ガイド|1テーマ=2行で積む
- 1行目 = 事実+意図(最大70〜90字)
- 2行目 = 成果(最大60〜80字)
- 3〜5テーマを職務ごとに。最新→過去で配置し、募集要件に近い順に上げる。
- 動詞は能動態(設計した/選択した/検証した)。受動態はNG。
- ATS対策:募集要件のキーワード(ツール名・領域名)は事実の行に自然配置。
Action Steps|“今から30分”でやること
- 求人票の要件を3つ抜き出す(例:在庫最適化/レポーティング/業務自動化)。
- 過去1年の業務からその3つに近いテーマを各2件メモ。
- 各テーマをテンプレに沿って下書き(事実→意図→成果)。
- 分母・期間を補記し、%/pt/時間のどれかで相対化。
- 動詞を能動態+意図の“仮説”を1語追加(例:季節性/ボトルネック/情報非対称)。
- 上から募集要件に近い順に並べ替え、重複は削除。
- 最上段に“総括サマリ”(得意領域×再現性×伸ばしたい方向)を3行で置く。
総括サマリ例
「在庫・業務可視化の設計→検証を通じ、KPI改善を3件/四半期で再現。
制約下でも仮説→小さく試す→横展開の型化が強み。今後はS&OP設計まで射程に。」
(関連記事:[週1稼働で売上を伸ばす「1day集中コンサル」の設計法]
“意図”が思いつかないときのフレーズ帳
- 制約由来:「人的リソース1名」「導入予算月5万円」「紙帳票前提」
- 仮説:「季節性未反映」「在庫引当の粒度不一致」「ステータス未統一」
- 選択理由:「最短導入を優先」「現場負担を最小」「再現性重視でシンプルに」
- 検証:「A/B比較」「前後比較」「パイロット2週間」「クレーム件数トレンド」
仕上げチェックリスト(抜粋)
- 各トピックが事実→意図→成果の順になっている
- 能動態の動詞に統一
- 分母/期間が書かれている
- 成果を%/pt/時間/件数で表現
- 募集要件とキーワードの一致(ATS対策)
- 最新→過去で配置、近接性の高い順に
- 総括サマリで得意×再現性が伝わる
Future Vision|面接・配属後まで“物語”でつなげる
- 面接:三段構成を口頭STARに写経。深掘り質問は意図(仮説)を中心に答える。
- オンボーディング:入社後30日プランも同じ枠組みで提示(事実=現状把握/意図=仮説/成果=短期KPI)。
- キャリアの資産化:毎月1テーマ、三段構成で実績メモをNotion等に蓄積。“いつでも更新できる職務経歴書”が完成します。
まとめ
事実は素材。意図は設計。成果は検証。
この順に並べ替えるだけで、あなたの職務経歴書は“再現できる力”を語る物語に変わります。派手な数字より、選択の必然性を示しましょう。
読者へのお願い(UGC / コメント動線)
- あなたの職務経歴書、三段構成で1トピックだけ書いてコメントで見せてください。簡単にフィードバックします。
- 投票:あなたは「数字作り」or「意図言語化」のどちらが苦手?本文末のアンケートで教えてください。
- 事例募集:バックオフィス/企画/カスタマーサクセスの“意図”例も募集中!


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